「うつ病は甘えだ」とか「うつ病といってる奴は根性が足りないし、その根性が気にくわない」という声をまだまだ聞きます。
うつ病への理解がまだまだ進んでいない現状を表していますね。
今回は少しでも理解が進む手助けになればと思いお話しします。
うつ病はどんな症状か
以前うつ病であることという記事で、私の症状と一般に聞いたことのある症状の紹介をしました。詳しくは読んでみてくださいね。
より簡単に言ってしまうと、うつ病というのは、「感情をコントロールするスイッチが壊れている」という状況でしょうか。
自らの意思でスイッチを切り替えて感情をコントロールすることが難しく、また切り替えられてもその変化が遅いというものです。これが、なかなか理解されにくい1つの要因かもしれません。
元気な人から見ると、「何をぐずぐずうじうじしてるんだイライラする」とか、「そんなこと誰にもあるんだから甘えるな、根性出せ」と思われてしまうのかもしれません。
気持ちは分からなくもありません。私もうつ病になる前は同じようなことを考えていました。
うつ病は甘え?
結論から言います。
甘えではありません。きちんと病院で「うつ病」と診断されます。新型うつ病も同様です。場合によっては障害者手帳ももらえます。
これが事実ですが、これだけでは甘えではないと認められないでしょうか?
なんとなく気持ちは分かります。おそらく、うつ病と診断される基準がよく分からないということが理由ではないでしょうか?
「憂鬱な気分になることなんて私にもあるよ!」と、一時の憂鬱な気分は誰にでもあり得ることです。しかし、元気な人とうつ病の人の決定的な違いがあります。
それは、「ここで逃げたら甘えだ」と思って頑張れるかどうかという点です。
元気な人はなんとか頑張れますね?
でもうつ病の人は頑張ろうと思っても頑張れないのです。うつ病の人も元気な人と同じように逃げようとする自分を責めます。それでも頑張れないのです。そういうものなのです。
「私だって頑張れないけど頑張ってるんだ」という人は、いったん休憩して病院に行ってみてください。もしかしたらうつ病かもしれません。
甘えと思わせる要因
うつ病を甘えであると誤解させる要因は様々あると思いますが、そのうちの何個かを挙げてみます。
- うつ病と診断される基準が分からない
- 理由もないのに辛かったり悲しかったりする
- 休んでいるのに遊びに行ったりしてる
こんなところでしょうか。
まずうつ病と診断される基準ですが、DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)というアメリカ精神医学界から出版され国際的に利用されている精神疾患の診断基準というものがあります。
このDSMの場合、以下の9項目のうちいくつ当てはまるかでうつ病かどうかを判断します。
- 抑うつ気分が、ほとんど1日中、ほとんど毎日続いている
- ほとんどすべての活動に対する興味や喜びが、ほとんど1日中、ほとんど毎日著しく減退している
- 食事療法などはしていないが、著しい体重の減少や増加、またはほとんど毎日の食欲の減退や増加がある
-
ほとんど毎日の不眠または睡眠過多がある
- ほとんど毎日の精神運動の焦燥または制止がある
- ほとんど毎日の疲労感や気力減退がある
- ほとんど毎日の無価値感や、過剰または不適切な罪悪感がある
- 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる
- 死についての反復思考があり、特別な計画はないが、反復的自殺念慮や自殺企図がある。または、自殺するための計画がある
このうち5つ以上当てはまり、その症状が一日中存在しそれが2週間以上続いているとうつ病と診断されます。
それぞれの項目は普通に生きていてもあり得る症状ですが、それが一日中存在し、かつ2週間も続くのは明らかにおかしいですよね?
また、理由もなく辛かったり悲しかったりするということですが、その時点で正常ではないと思いませんか?
普通は、何かあるから楽しかったり悲しかったりするものです。うつ病になると感情が動くことに理由がないのです。
また、休んでいるのに遊びに行ったりしていることとですが、確かにこれは誤解を招いてしまいます。
しかし知っていてほしいのは、うつ病患者にとって楽しいことを楽しむことは治療の1つなのです。楽しいことを楽しめるうちに楽しまなければ、症状が進行し、この先10年も20年もうつ病で苦しむことも考えられます。
甘えだと叱責して無理にやらせて症状を悪化させてしまった場合、甘えだと叱責しているあなたは責任とれますか?
おそらく責任をとれるから説教をして無理矢理やらせているのだと思いますが、責任とれないなら辞めてくださいね。
ここで言う責任とは、その後の人生全てを面倒見ると言うことですよ。失明させたりしたときと同じ考え方ですね。
それでも根性が~と言われる方へ
ここまでのお話を聞いても「根性が足りないからそんな情けないことになるんだ。根性出して社会に出てこい」とか「お前のそのなよなよした根性が気にくわない」と言われる方もいらっしゃると思います。
こういった方々は根性は万能のものであり、根性があれば何でもできると思われているのでしょう。
たしかに、根性は必要です。私もビジネスをしているので分かります。しかし決して万能ではありません。根性だけでは解決できないこともあります。
これは某漫画の台詞の受け売りなのですが、根性があれば何でもできるという方々は、ゼロ距離で引き金を引かれた銃から飛び出てくる弾を、そのご自慢の根性で見事無傷で避けてみてください。そうすればあなた方の根性万能論を信じましょう。
ポイント
- うつ病は感情をコントロールするスイッチが壊れたような状態ですよ
- うつ病は甘えではありません。立派な病気です
- 責任とれないなら無理にやらせることはしないでくださいね
- 根性ではどうにもならないこともあります。根性は万能ではないですよね
私だって同じように苦しい思いをしてるのにって方は、うつ病の方を責める前に病院に行ってみてくださいね。うつ病かもしれませんよ。
自分が変わる方が簡単ですよ。
以前言語学を学んでいる留学生に聞いたのですが、甘えというのはの日本独特の概念らしいですね。
私はいつでもうつ病を治そうとしているあなたの味方です。
ではまた!